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木桶の茶室でひらく、三つの茶会
― 一服の茶と手仕事の記憶 ―
2026.7.3、8.1、8.29
中川周士 / 作品名、 八木隆裕 / 作品名
福寿園本店9F エグゼクティブサロンでは、木桶職人・中川周士氏による「木桶の茶室」を期間限定で展示しました。アートスペース福寿園で開催された「時をかさねて、美しく ― 一服の茶と手仕事の記憶 ―」の一環として、この木桶の茶室を舞台に、7月から8月にかけて三つの茶会が開かれました。
一服のお茶を分かち合うこと。
人が車座になり、立場を越えて語らうこと。
そして、伝統を受け継ぎながら、新たな茶文化のかたちを探ること。
それぞれ異なる趣向を持つ三つの茶会を通して、木桶の茶室と茶文化が出会うことで生まれる、さまざまな時間をお楽しみいただきました。
「大きな桶の小さな茶会」
7月3日、そして8月1日には、煎茶道方円流 家元嗣・水口小園先生による「大きな桶の小さな茶会」が開催されました。煎茶道に息づく「皆に平等に一服のお茶を分かち合う」という精神と、中川周士氏が手がけた木桶の茶室に込められた「立場を超えて車座になり、対話を楽しむ」という思い。異なるかたちで育まれてきた二つの精神がひとつの空間に重なり、ほどよい距離感のなかで自然に言葉を交わす、穏やかで豊かな時間が生まれました。
茶会を彩るお道具や設えにも趣向が凝らされ、さりげなく置かれた蟷螂の玩具や、木のふしころと陶の鮎を添えた手桶など、季節を感じさせる情景が茶室を彩りました。木桶の茶室という独自の空間だからこそ生まれる親密な対話と、そこに加わる一服のお茶。木の手仕事と茶の文化が響き合うひとときとなりました。
「夏の果の桶茶会」
そして8月29日には、煎茶道方円流「縁 一滴」主催による「夏の果(なつのはて)の桶茶会 ― 涼と思(クールダウンとマインドセット)―」が開催されました。今回で3回目を迎える煎茶道方円流の茶会。家元嗣・水口小園先生にも見守られるなか、残暑の折にふさわしい、涼やかで趣深い一席となりました。
「縁 一滴」は、令和7年より「文化交流を愉しむ」ことを原点に、茶席を通じて日本の伝統と新しい価値観が交わる場を創出しながら、これからの煎茶道のあり方を探る活動を続けています。
茶会のはじめには、水出しのレモン煎茶をウェルカムティーとして。続いて煎茶道についてのレクチャーが行われ、参加者は茶の文化に触れながら、木桶の茶室へと入りました。
そこで供されたのは、福寿園の最高峰玉露「金雲(きんうん)」による冷たい玉露「冷淹(れいえん)」。京都の老舗菓子店による特製菓子とともに、夏の終わりの一服をお愉しみいただき、木の温もりと静謐な佇まいに包まれた木桶の茶室で、暑さの残る季節にひととき心を静め、涼を感じる時間となりました。
受け継ぐ茶文化、その先へ
三つの茶会に共通していたのは、一服のお茶を介して人と人が出会い、文化を分かち合うという時間の豊かさでした。
木桶職人の手仕事によって生まれた茶室に、煎茶道という文化が重なる。そこに、それぞれの茶人の趣向や世代の感性が加わることで、同じ空間でありながら異なる表情の茶会が生まれました。とりわけ、家元嗣による茶会に続き、若手による「縁 一滴」の茶会が開かれたことは、受け継がれてきた茶文化が、新しい世代の感性によって広がっていく一つの姿ともいえるでしょう。
「時をかさねて、美しく」という言葉には、長い時間をかけて受け継がれてきた手仕事や茶文化だけでなく、そこに新たな人や感性が加わり、次の時間へとつながっていくことへの思いも重なります。
福寿園では、茶を中心にアートや工芸、さまざまな文化との出会いを通して、茶文化の持つ豊かさや可能性を発信しています。今回の三つの茶会が、木桶の茶室と一服のお茶を通じて、過去から現在、そしてこれからへと文化がつながっていく時間となりましたことを嬉しく思います。
ご参加くださいました皆さま、そして茶会の開催に携わられた皆さまに、心より御礼申し上げます。














